広告ブロック
広告ブロックとは訪問したサイトから広告を削除するために特別に開発されたソフトウェアを用いて広告を非表示にする行為を指す[1]。そのようなツールは広告ブロッカー、またはアドブロッカーと呼ばれ、インストールが簡単で、ブラウザー拡張機能として利用でき、ほぼすべてのデバイスとプラットフォームに互換性がある[1]。
概要
インターネットコンテンツを視聴する際データ転送量の4割から半分以上を広告が占めるとされており、その内訳は主に画像データ(JPG、PNG、GIF等)やMP4動画である[2]。モバイル回線ではデータ転送量を元に料金プランを選定する事が多いため、広告設置者に対して「俺が金払ってる回線にタダ乗りして金儲けしてる」との批判がある[3]。そのため、通信速度の改善や通信料金の削減を目的にデータ転送量を削減することが広告ブロックツールを導入する主な理由の一つとなっている[4]。
また、広告事業者はユーザーの興味関心を分析し個々の購買意欲を誘うため、ウェブサイトがユーザーがリンク元のウェブサイトを追跡したり、リンク元のウェブサイトのみが知っている識別情報を利用して個人をプロファイリングする[5]。 このようなウェブサイトに埋め込まれた個人情報追跡ツールをトラッカーと呼び、広告ブロックツールではこれらもブロックする[5]。
以上のことから嫌儲十訓の実践に広告ブロックは必要不可欠と言える。
ソフトウェア
Webブラウザの拡張機能
uBlock Origin
uBlock Origin拡張機能はRaymond HillとNik Rollsによって開発されたオープンソースのクロスプラットフォームブラウザ拡張機能であり、Chrome、Chromium、Edge、Opera、Firefox及びバージョン13以前のSafari全てを含む最も広く利用されているブラウザに対応している[6]。各ブラウザの拡張機能ストアよりインストールが可能。後述する強力なフィルタリストであるEasy Listを標準で備えているため、インストール後特別な設定もせずに広告やトラッカーをブロックする。尚、2022年8月現在、本プロジェクトは寄付を受け付けておらず、その代わりにブロックリストの管理者へ寄付を行うよう促しているため[6]、営利企業や団体と利害関係が無いことが評価できる。
Android用アプリケーション
AdGuard for Android
キプロスのAdGuard社製アプリケーションで、root権限なしでAndroidのブラウザ及びその他アプリケーションの広告をブロックできる[7]。基本的な機能は無料で使用でき、十分に広告やトラッカーをブロックするが、より高度にブロックする場合はライセンスをアクティベーションする必要がある。テンプレート:有料版の機能を詳細に。また、Androidの開発企業であり広告企業でもあるGoogleの方針によりPlayStoreで配布されているAdGuardアプリケーションは大幅に機能が削られているため、AdGuard公式サイトよりapkファイルを入手してインストールする事を推奨する。
2022年のロシアによるウクライナ進行を受け、AdGuard社は2009年にロシア・モスクワで設立された[8]事から当社製品を使用することに対して懸念の声がユーザーから上がった。しかし、現在同社はEU法の下で事業を行うために本社をキプロスに移しており[8]、ウクライナを含む世界の他の地域にもAdGuard社で働いている従業員がいる多国籍企業であるため[8]、ロシアに対して非難の声を上げている[8]。
NetGuard
オランダのMarcel Bokhorst氏によって開発された100%オープンソースのAndroid専用でroot権限なしで動作するファイヤーウォールアプリケーション[9]。ファイヤーウォールアプリケーションを謳っているが、フィルタリストをインポートすることにより広告とトラッカーをブロックできる[10]。開発者に寄付することにより恒久的なプロ版ライセンスを取得でき、プロ版にアップグレードを行うことにより全ての機能がアンロックされる[9]。
Marcel Bokhorst氏の開発のソフトウェア全般に言えることだが、細かい設定項目が非常に多く導入時の初期設定は非常に大変だが、設定が決まると多大な恩恵をもたらしてくれる。尚、フィルタリストをインポートし、広告をブロックできるようにするまでは非常に簡単にできる[10]ため身構える必要はない。100%オープンソースに拘りたい人、AdGuardのライセンス代が高くて時期が悪い人、三男の所在地オランダに親近感を覚える人にはおすすめのAndroid用広告ブロッカーである。
iOS、iPad OS用アプリケーション
AdGuard for iOS
Android用アプリケーションの項目のAdGuard for Androidと基本的には同じであるが、AppStore経由でしかアプリケーションを入手できないことにより、機能が大幅に制限されている。しかしながら、iOS、iPad OS(以下、総称して「iOS」と呼ぶ)の仕様を活かした特徴的な機能がある。
iOSに標準で搭載されているブラウザのSafariには、iOS9からコンテンツブロッカーと言う機能が用意されており[11]、ウェブコンテンツ全体に作用してブロックするアプリケーションをインストールし、広告やトラッカーをブロックできる[11]。AdGuard for iOSではこの機能を利用して、Safari内の広告を強力にブロックできる。
ブラウザ以外のアプリケーションについてはAdGuard for iOSの機能として用意されているDNSフィルタリングを使えばブロックできるが、AdGuard for iOSのようにアプリケーション毎の個別の設定はできない。
フィルタリスト
EasyList
EasyListは、不要なフレーム、画像、オブジェクトを含む、国際的なWebページからほとんどの広告を削除する主要なフィルタリストで、多くの広告ブロッカーで使用される最も人気のあるオープンソースのリストである[12]。フィルタリストは現在、Fanboy、MonztA、Famlam、およびKhrinの4人の作成者によって管理されており、十分なフォーラムコミュニティの支援を受けている[12]。このフィルタリスト一つで十分なほど強力に広告とトラッカーをブロックしてくれる。ただし、日本語はサポートしていないため[13]、後述の日本向けフィルタリストと併用することをお勧めする。
豆腐フィルタ
豆腐フィルタは豆腐氏によって作成、管理されている[14]デスクトップブラウザ向けの日本向けでオープンソースのフィルタリストである。先述のuBlock Originにインポートして使うことをお勧めする。名前の由来はWebページが豆腐のように白くなるからと2ちゃんねるの専門板で聞いたことがある[要出典]。
AdGuard日本語フィルタ
AdGuardによって作成、管理されている[15]オープンソースの日本向けフィルタである。スマートフォンでの使用にお勧めする。AdGurdアプリケーションではワンタップでインポートできる。
DNSフィルタリング
DNSとは?
DNSとはDomain Name Systemの略です。 “インターネットのアドレス帳”と考えてください。お使いのブラウザやアプリが認知できないドメイン名を、認知できるIPアドレスに変換するためにこのDNSという"アドレス帳"を使います。ルーターなどを初期設定からいじっていなければお使いのプロバイダーのDNSを利用していると思います。
DNSフィルタリングの仕組みは?
DNSフィルタリングを使用すると、ブラウザやアプリが“不正な”リクエストを送信するたびに、AフィルタリングサーバーはIPアドレスを返信せず、代わりにNULLレスポンスを返信します。
DNSフィルタリングのメリットデメリット
メリット
無料で始められる。機種依存がない。余計なソフトウェアを入れる必要がない。余計なソフトウェアを入れないのでバッテリーに優しい。DNSで弾くためブラウザ以外にも効果がある。
デメリット
融通が利かない(ブロックしてほしくないサイトまで見られない場合がある)。どんな広告でも消えるわけではない。DNSサーバーの場所によってはレスポンスが悪くなる場合もある。必ずしも安全とは言えない場合もある。
AdGuard DNS
AdGuardが提供しているパブリックDNS。AdGuard DNSは、広告とトラッカー(個人情報追跡)をブロックします。
- IPv4: 94.140.14.14 94.140.15.15
- IPv6: 2a10:50c0::ad1:ff 2a10:50c0::ad2:ff
ファミリー保護サーバー 広告、トラッカー、アダルトコンテンツをブロックし、できる限りセーフサーチとセーフモードを有効にします。
- IPv4: 94.140.14.15 94.140.15.16
- IPv6: 2a10:50c0::bad1:ff 2a10:50c0::bad2:ff
CloudFlare DNS
Cloudflareが提供しているパブリックDNS。マルウェア、フィッシング、その他のセキュリティリスクに関する潜在的な脅威をブロックします。
- IPv4: 1.1.1.2 1.0.0.2
- IPv6: 2606:4700:4700::1112 2606:4700:4700::1002
ファミリー保護サーバー マルウェアとアダルトコンテンツ
- IPv4: 1.1.1.3 1.0.0.3
- IPv6: 2606:4700:4700::1113 2606:4700:4700::1003
Quad9
Quad9はIBM Security、PCH、GCAなどが共同で提供。マルウェア、フィッシング、スパイウェア、ボットネットなどのさまざまな脅威をブロックします。
- IPv4: 9.9.9.9 149.112.112.112
- IPv6: 2620:fe::fe 2620:fe::9
Google Chromeにおける広告ブロック拡張機能の制限
拡張機能はChromeの利便性を大きく向上させる一方で、セキュリティの低下や不正なアフィリエイトコードの挿入といった被害をもたらすこともあるため、Googleは2023年1月を目途に拡張機能の動作を制限するManifest V3への移行を進めている[16]。それを受け、AdGuardは8月30日に公式ブログを更新しManifest V3に対応した世界初の広告ブロッカーである「AdGuard Browser extension V3」をリリースしたことを発表したが、ユーザーが追加できる独自のルールには5000件の制限がありManifest V2時代のコンテンツブロッカーと比べるとあまり強力ではない可能性がある[16]。9月にはuBlock Originの開発者であるRaymond Hill氏により、Manifest v3に対応したuBlock Origin Minus(現在はuBlock Origin Liteと言う)が発表された[17]。こちらもAdGuardと同様に、Manifest V2時代と比べると特定の機能がサポートされない[17]。
GoogleがChromeの広告ブロッカーを削除しようとする一方で、他社はより優れたプライバシーや、広告ブロックシステムを統合したブラウザを提供することに注力している[18]ため、広告は絶対に許せないChromeユーザーは、年内に他のブラウザに乗り換える事をお勧めする。
注記
- ↑ 1.0 1.1 What is an Ad-Blocker - ProPrivasy. River Hart. (2022年8月16日)2022年8月21日閲覧。
- ↑ 「スマホでのコンテンツ視聴に占める広告の比率調査」を実施 - PRTIMES. 株式会社KADOKAWA. (2020年11月4日)2022年8月21日閲覧。
- ↑ ネット広告屋ってなんで俺(ら)が金払ってる回線にタダ乗りして金儲けしてるわけ?対価を払えよ。アドブロックされて当然だろ [317830282]. ニュー速(嫌儲). (2020年2月15日)
- ↑ 広がるスマホの広告遮断 世界で4億人超、中国で1.6億人が利用 - Yahoo!JAPANニュース. 小久保重信. (2016年6月13日)2022年8月21日閲覧。
- ↑ 5.0 5.1 AdGuard URL追跡防止フィルタ - AdGuard. Valery Yanovsky. (2021年4月30日)2022年8月21日閲覧。
- ↑ 6.0 6.1 About uBlock Originについて. ublockOrigin. 2022年8月22日閲覧。
- ↑ 本格的にAndroidで広告をブロックするのは【AdGuard】. AdGuard. 2022年8月22日閲覧。
- ↑ 8.0 8.1 8.2 8.3 Official response from AdGuard to SetApp allegations - AdGuard Blog. Andrey Meshkov. (2022年3月10日)2022年8月22日閲覧。
- ↑ 9.0 9.1 NetGuard. Marcel Bokhorst. 2022年8月23日閲覧。
- ↑ 10.0 10.1 Enable NetGuard's Hidden Ad-Blocking Feature on Your Android Phone - GADGET HACKS. Amboy Manal. (2017年5月18日)2022年8月23日閲覧。
- ↑ 11.0 11.1 「新iPhone」から広告は締め出されるのか - 東洋経済. 本田雅一. (2015年8月28日)2022年8月22日閲覧。
- ↑ 12.0 12.1 EasyList - Overview. EasyList. 2022年8月23日閲覧。
- ↑ Other Supplementary Filter Lists and EasyList Variants. EasyList. 2022年8月23日閲覧。
- ↑ 豆腐フィルタ. 豆腐フィルタ. 2022年8月23日閲覧。
- ↑ AdguardFilters/JapaneseFilter/sections/. AdguardTeam . 2022年8月23日閲覧。
- ↑ 16.0 16.1 AdGuardが世界初となるChromeの「Manifest V3」対応版広告ブロッカー「AdGuard Browser extension V3」をリリース - Gigazine. log1l_ks. (2022年9月1日)2022年9月1日閲覧。
- ↑ 17.0 17.1 uBlock Origin Minus: an experimental Manifest v3 compatible extension - ghacks.net. Martin Brinkmann. (2022年9月9日)2022年10月10日閲覧。
- ↑ Chrome to ban AdBlock - TECH NATION NEWS. Newsroom. (2022年8月26日)2022年9月1日閲覧。